八代わかば法律事務所
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ここでは,あなたが民事裁判を起こしたり,逆に起こされたりした場合の,その後の流れについて大まかに書いています。内容の正確さについては必ずしも保証の限りではありません。「大体こんなもんだ」ということで気軽に呼んでください。なお,どんな事件も水物ですので,思った通りの流れになるとは限りませんので注意が必要です。

まずは当事者での話し合い

 お金を貸したのに相手がなかなか返してくれない,他人に土地を占拠されている,不当に解雇された,先物取引に引っかかったなどなど,望まなくてもいろいろなトラブルがあちらから飛び込んできたりします。
 そのような場合,
当事者間の話し合いで解決するのであればそれに越したことはありません。

 まず話し合いを最優先すべきです。

 「話し合いを円滑に進めるための法律知識が欲しい」
 そのために相談に来られるのも有益だと思われます。
 
裁判などを考えていなくても,お気軽にご相談にいらっしゃってください。
 当事者の話し合いで解決しない場合
 この場合,今後どういった解決方法があるのか,弁護士と相談することになります。
 弁護士としては,複数の選択方法(調停,裁判,まずは保全手続など)を提示すると思います。
 ここで注意していただきたいのは,

 最終的にどの方法を選択するかは,あなたの責任で決めなければならな


 ということです。
 弁護士はあくまでも助言者,代理人ですので,弁護士がミスしたなど例外的な場合を除いて,弁護士が結果の責任を負うわけではありません。
 あなたの事件ですから,他人任せにしてはいけません。
 ですから,


 
各方法のそれぞれのメリット・デメリット(有利な点・不利な点や危険性)をよく弁護士から聞いて,よく理解した上で,

 
どの方法で行くかをあなた自身が決めて下さい。



弁護士に依頼しての交渉
 当事者での話し合いが折り合わない,または出来ない場合,弁護士に交渉を代わりにやって貰うという手があります。
 よくやるのは,多重債務問題での任意整理ですね。
 任意整理(債務整理)とは,消費者金融などからの借り入れについて,弁護士に依頼して間に入って貰い,弁護士が金融業者と債務総額や月々の返済額の減額,将来利率のカットなどの交渉をする方法です。
 特定の司法書士もこの任意整理を行えます。
 また,裁判所の調停手続を使って同じことが出来ます(特定調停という手続です)。ただ,私は,特定調停はあまりお勧めはしません。
 
 任意整理以外の場面で,弁護士が交渉をするという場面はあまり多くはないかも知れません。あっても,それは次の段階(調停や裁判)を見据えて,「一応やっておくか」といった感じでやるだけでしょうか。弁護士の所に相談に来る案件は(特に地方では)揉めに揉めてる場合が多いので,弁護士が代理人になったから解決するということはかなり少ない気がします。
 ですから,私が一般民事の依頼を受ける際には,話し合うとしても調停手続を取ります。
 全ての事件でいきなり裁判をするというのも極端ですから,当然話し合いの場を極力持とうという方針ですが,その話し合いは調停ですれば充分です。ちゃんとした返答も期待できない相手方とのやり取りで時間を無駄に経過させるよりは,とっとと手続に乗せる方がいいというスタンスです。
 手続に乗せさえすれば,事件は進行します。色々な可能性を考えてあーだこーだ仕勝ちなのですが,とにかく手続に乗せた方が結構いい結果になるような気がします。
 
調停
 調停とは,公平な第三者である裁判所を間に入れて相手方と話し合いをするという,訴訟外の紛争処理手続です。
 裁判所に申し立てるといっても,裁判所は公平な第三者の立場にありますから,双方の仲裁などを調停員(通常2名)がしてはくれますが,どこまでいっても話し合いの場に変わりはありません。
 
 手続としては,調停申立書を裁判所に提出し,約1ヶ月後位に第1回の調停期日が指定されます。
 この期日は相手の都合で変更することもあります。
 相手には期日呼び出し状が郵送されます。相手方には調停申立書が送付される場合とそうでない場合があります。相手方が調停申立書の送付を受けない場合,相手方としては,調停期日に裁判所に行って,調停員から話を聞くまでは申し立てられた事件の内容を知らないことになります。(これはかなり不安でしょうね。)。

 調停日当日の進行としては,貴方が申し立てた場合,裁判所に出頭して,申立人控え室に待機し,調停員から呼ばれたら調停室に入ります。そこで,調停員(通常2名)から,調停の手続について簡単に説明があります。
 その上で,あなたは,調停員に対し,調停申立の内容について改めて簡単に説明します。
 調停員からは,その他必要な事項について具体的なことを聞かれます。たまに『
なんでこんなことまで聞くんだ!』と怒る方もいらっしゃいます。特に家事事件などはかなり根掘り葉掘り聞かれる印象です。調停員で個人差はあると思いますけどね。
 ちなみに
私も平成18年4月から調停員です。

 貴方からあらかた事件について聞いた調停員は,一旦貴方を控え室に戻し,今度は相手方を調停室に入れ,貴方の言い分・主張・要求を相手方に伝えます。相手方はそれを聞いて,自分の主張を調停員に言います。それを聞いた調停員は相手方を相手方控え室に戻し,貴方を呼んで相手方の言い分を貴方に伝えます。それに対して貴方が再反論をしたり,和解なら少し譲歩した和解案を出すなどして,調停での話し合いは続いていきます。

 このように,原則としては,
貴方と相手方は全く顔を合わすことなく話し合いが出来ることになり,調停手続の利点の一つです。
 しかし,いわば
伝言ゲームの様な形式を取るので,間を取り持つ調停員の伝え方が良くないと後々面倒なことになります。
 それに,相手が調停員と話をしている間は,貴方は控え室でずっと待っていなければなりません。だいたい,通常30分以上,長いときには1時間待つこともしばしばです。これはかなり苦痛であり,調停をする前に知っておいた方がいいでしょう。

 
一回の調停は約1時間半くらいだと考えて良いと思いますが,相手方が「持ち帰って検討したい」と言うなど,話し合いの余地がある場合には,調停手続が続行され,約1ヶ月後位に次回調停期日が指定されます。改めて双方に呼び出し状などは来ませんので,自分でメモするなどしてちゃんと憶えておかなければなりません。
 和解できる可能性がある場合は何回でも調停は開かれます。

 調停の結果,ある条件で和解が出来た場合には,その成果は,
和解調書として正式に残ります。この和解条項を作成する際に気をつけないと,自分が予期しない条項が入れられてしまい後でこんなはずじゃなかった!」と悔やむことになります。ですから,調停が話し合いで弁護士を付けずに自分だけで出来るといっても,最後の最後で知識が無くてひどい目に遭わないようにするためには,よほど簡単な事件以外は調停についても弁護士に依頼した方がいいのではないかというのが私の感想です。
 
 話し合ったけど結局和解できなかった場合には,調停は不成立ということになり,調停手続は終了します。それでも解決したい場合には裁判しかないでしょう。調停が不成立で終わったら,『調停不成立証明書」というものを裁判所から発行して貰えます。この証明書は,裁判になったときに証拠として提出して,「こんなに話し合いの努力をしたのに駄目だったからやむなく提訴する羽目になりました」とアピールすることに使えます。その効果は分かりませんが。裁判官の印象を良くするためにはやらないよりいいでしょう。特に相手方が調停の時にはとりつく島もなかった場合などは是非やるべきです。
 調停を一回やって,双方の主張に開きがあり,歩み寄れそうにない場合には,一回の期日で調停は不成立ということになり,終了します。

 (
注意)争いがないに等しい場合や,彼我の正邪が明確な場合は別として,お互いにある程度言い分があり,ある程度の争点があり,どっちに転ぶか分からない場合に,それでも解決するためには,互譲の精神が必要となります。日本人には特にある「あちらがそれだけ引いたんなら,こちらもこれだけ引こう」という姿勢です。これが日本社会を平和にしてきた精神です。しかし,この精神を持たない人間は確実に存在します。その場合,解決のためにこちらが譲歩すれば,嵩にかかって来ます。「相手がそう来るならこうしてやる」というのでは相手と同レベルになってしまいますから,それはやめるべきですが,何事も,相手を見てやらなければなりません。

裁判  話合いでも調停でも解決できない場合,もしくは最初から話合いは無理そうな場合,とっても頭に来ている場合,裁判を起こすことになります。

 訴状を作成し,だいたいの証拠を揃えて提訴。約1ヶ月半後くらいに第1回目の裁判(口頭弁論)が開かれます.その間に訴えられた方(被告)は答弁書を出さなければなりません.答弁書を出さず,裁判当日に出頭もしない場合,最悪,請求全部を自白(認めた)ものとされ,結審して判決言渡しとなることもあります。

 答弁書を出して争うことになると,だいたい,1ヶ月〜1ヶ月半の間隔で裁判が開かれ,お互いに主張や証拠を出し合います。お互いの主張と反論が出尽くしたところで,証人尋問,当事者尋問が行われ,2ヶ月半後くらいに判決言渡しとなります。

 裁判中も,いろいろな場面で和解の話合いは行われています。裁判当初,中盤,尋問後結審前,結審後判決言渡しまでの間にも話合いが行われることがあります。裁判官が和解を勧めることもありますが,多くの場合はそれなりに理由があって勧めているので,和解をすべきかどうかはある程度冷静に検討する必要があります。

 裁判で必要なことは,訴状を作成する段階から,どのようなことが争点になりそうか,訴えが認められるために必要な事実要件・法律要件はなにか,それを裏付ける事実関係はハッキリしているか,,証明できるか,どの証拠で証明するのかなど,提訴が遅れてもいいから十分準備をして裁判を始めることです。ここは弁護士と打ち合わせを密に行うべきです。裁判が始まってからも,弁護士任せにせず,弁護士と意思疎通を絶やさない様にして,弁護士が要求することをよく理解して指示されたことを準備することです。

強制執行  裁判で勝訴判決が確定しても,相手が判決内容を履行しない場合,これは,多くの場合はお金を払わない場合ですが,相手の財産から強制的にお金を回収することになります。相手の不動産や動産を差し押さえ・競売する,相手の銀行口座や給料を差し押さえる等が主でしょうか。勿論それ以外にもいっぱいありますし(土地明渡しなど),特殊な強制執行もあります。強制執行の種類が多岐にわたること,相手の財産から強制的に行う処分であることから,申立書の記載内容,執行要件,資料などは結構複雑で難しい。
 強制執行にも弁護士費用が掛かるし,不動産明渡しや動産差押え等は執行官への申立が必要で,その執行官に納める執行費用が掛かる。
 なんといってもお金がない人間が一番強い。財産がない人間からは強制的に金銭回収は不可能。
 
その他

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